SNS採用に興味はあるけれど、実際にどう取り組めばいいのかわからない―そんな悩みを持つ企業は少なくありません。具体的な手法や成功事例が知りたいと考えている企業も多いでしょう。
採用には様々な方式がありますが、その中でもXやFacebook、Instagramといったソーシャルメディアを活用して、求職者に対して企業の魅力を発信し、採用活動を行います。この方法は、特に若年層の求職者にリーチしやすいという大きなメリットがあります。
SNSを利用した採用活動は、近年注目を集めていますが、どのように進めれば効果的なのでしょうか?
この記事では、SNS採用の基本から、実際に企業が取り組む際のポイント、成功事例までを深く理解することができます。さっそく、SNS採用についてみていきましょう。
SNS採用が活発になった背景
近年、SNSを利用した採用活動が企業間で急速に広がっています。その背景には、特にZ世代を中心とした就職活動生の情報収集行動の変化があります。
株式会社No Companyが行った調査によると、57.2%の就活生が就職活動においてSNSで情報を収集しており、特にXでの情報発信を希望する声が多くありました。就活生は企業に対して、よりリアルな働き方や社風に関する情報をSNSを通じて知りたいと考えています。
このような変化は、情報収集の手段だけでなく、企業と求職者とのコミュニケーションの形態にも影響を及ぼしています。
SNSを通じて、企業は直接的かつ非公式な形で求職者と接触することが可能に。求職者もまた、企業の「顔」となる従業員やその文化を間接的にでも感じ取ることができるようになりました。この結果、従来の採用方法に比べて、企業と求職者双方にとってより深いレベルでのマッチングが期待できるようになっています。
SNS採用のこのような特徴は、企業にとって新たなチャレンジであると同時に、効果的な人材獲得のための重要な手段となりつつあります。採用活動においてSNSの利用を検討する際は、求職者が求める情報を適切に提供し、企業の魅力を正確に伝えることが成功の鍵となります。
SNS採用のメリットとは?
リーチの広さ
SNS採用が注目を集める最大の理由は、その手軽さと高いリーチ能力にあります。従来の採用活動に比べ、SNSを利用することで、より多くの求職者と直接的にコミュニケーションを取ることが可能になります。
特に、若年層の求職者は日常的にSNSを利用しているため、彼らの目に留まりやすいのが利点です。さらに、SNSの投稿は拡散力があり、自社アカウントをフォロワーしていない求職者の目にも届く可能性があります。つまり、将来的な潜在層にも早期からアプローチできるというわけです。
優れたコストパフォーマンス
コストパフォーマンスの高さも大きな魅力です。SNS採用は、多額の広告費をかけずとも、企業アカウントを通じて効果的に情報を発信できます。その分、従来の広告に比べてコストを大幅に抑えられます。そのため、小規模企業でも積極的に導入しやすいでしょう。
情報発信力
加えて、SNSを上手に活用すれば、企業文化や働く環境のリアルな様子を伝えることも可能です。企業と求職者の間で文化的なフィット感を事前に確認でき、入社後のミスマッチを防ぐことにつながります。同時に、企業側も不適切な応募者をある程度除外しやすくなります。
つまり、SNS採用は、リーチの広さ、コストパフォーマンス、情報発信力の3つの観点で、従来の採用活動を上回るメリットがあると言えるでしょう。
SNS採用を成功させるための戦略
SNS採用を成功させるためには、ただ単に求人情報を投稿するだけでは不十分です。求職者の興味を引き、企業のファンになってもらうための工夫が必要になります。ここでは、効果的なSNS採用戦略について解説します。
ターゲットを明確にする
成功するSNS採用の第一歩は、ターゲットとなる求職者層を明確にすることです。年齢層、興味関心、職種など、どのような人材を求めているのかを具体的に定めます。そのターゲットが使用しているSNSプラットフォームに焦点を当てましょう。
魅力的なコンテンツを作成する
SNSでは、テキストだけでなく、写真や動画を使った魅力的なコンテンツが非常に重要です。企業文化や働く環境、従業員の声など、リアルな企業の姿を伝えることで、求職者の関心を引きつけることができます。また、定期的にコンテンツを更新し、フォロワーとのエンゲージメントを高めることも大切です。
インタラクティブなコミュニケーションを心がける
SNSの大きな特徴は、双方向性のコミュニケーションが可能であることです。求職者からの質問に迅速かつ丁寧に回答することで、ポジティブなイメージを構築し、企業への信頼を深めることができます。また、積極的に求職者の投稿にいいねやコメントをすることで、関係性を築くことが重要です。
SNS採用にオススメの媒体
X(旧Twitter)
X(旧Twitter)は、若年層に人気で、リツイートやいいねによる強力な拡散機能を持っています。企業の最新情報やイベントを広く伝えるのに適しており、リアルタイム性が特徴です。
Instagramは、特に20代女性に人気があり、画像や短い動画を通じた視覚的な魅力の発信に最適です。オフィス風景や社員の働く様子を投稿し、企業イメージの向上に役立てます。
LINE
LINEは、日本国内で幅広い年代に利用されているコミュニケーションアプリです。メルマガ形式で情報発信が可能であり、友だち追加後は豊富な連絡手段として活用できます。
Facebookは、実名登録でリアルな交友関係が反映されやすく、社員が企業の投稿をシェアすることでリファラル採用につながります。長文の投稿が可能で、詳細な企業情報の伝達に有効です。
Wantedly
Wantedlyは、就職・転職活動に積極的な20代〜30代の優秀層が多く利用しています。採用活動に必要な機能が一通り備わっており、特にビジネス目的でのネットワーキングに強みがあります。
SNS採用で成功した企業の事例
次に、実際にSNS採用で成功した企業の事例を見ていきましょう。
SNS採用において顕著な成功を収めた企業の事例を見ることで、実践的なヒントを得ることができます。ここでは、特に注目すべき3つの事例を紹介します。
株式会社ディー・エヌ・エーのX(旧Twitter)活用
株式会社ディー・エヌ・エーは、新卒採用においてTwitterを積極的に使用しています。彼らは新卒向けのアカウントから説明会の開催情報やデザイナー向け講座の情報を発信しており、特に専門的な内容を通じて親和性の高い候補者の関心を引きつけています。デザイナー向けにポートフォリオ作成セミナーの告知を行うなど、特定の職種にフォーカスした情報提供により、関連するフォロワーを増やしています。
株式会社ニトリのLINE活用
株式会社ニトリは、新卒採用でLINEを利用しています。LINEの「リッチメニュー」機能を活用しており、これはトーク画面下に表示されるボタンで、採用サイトや他のSNSにリンクしています。これにより、就活生がLINEを通じてさまざまな採用情報に容易にアクセスできるようになり、情報の回遊率を高める効果があります。
ユニリーバ・ジャパン株式会社のInstagram活用
ユニリーバ・ジャパン株式会社では、Instagramを使用して企業のブランディングに成功しています。働き方の一例や社内の取り組みを伝える投稿により、会社の人間的な側面を強調しています。更新頻度が高く、トレンドに敏感なハッシュタグを効果的に使用することで、就職・転職を考える潜在層を含め、多くのユーザーの認知度向上を図っています。
ユニリーバ・ジャパン株式会社の新卒採用Instagramアカウントはこちら
これらの事例からわかるように、SNS採用においては、単に情報を発信するだけでなく、企業の個性や文化を前面に打ち出し、求職者と積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。次に、今回の内容をまとめ、SNS採用を検討している企業が取るべきステップを見ていきましょう。
企業のSNS運用について、詳しくはこちらをご覧ください。
SNS採用を始めるためのステップ
SNS採用は、ただ単にSNSに投稿すること以上の戦略的な取り組みが求められます。効果的なSNS採用を実現するためには、以下のステップを踏むことが重要です。
- 目標の設定:採用したい人材のタイプや数、SNS採用を通じて達成したいことを明確にします。
- ターゲットの特定:どのSNSプラットフォームがターゲットに最適かを考え、そのプラットフォームに合わせたコンテンツを計画します。
- 魅力的なコンテンツの作成:企業文化や働く環境、従業員の声など、求職者の関心を引くコンテンツを作成します。
- エンゲージメントの促進:フォロワーとのコミュニケーションを積極的に行い、関係性を深めます。
- 分析と改善:SNSの分析ツールを利用して効果を測定し、必要に応じて戦略を調整します。
これらのステップを踏むことで、SNS採用の効果を最大化し、企業に適した優秀な人材を確保することが可能になります。