Xキャンペーンは、短期間で認知度を高める有効な手段です。しかし、「フォロワーは増えたが売上に繋がらない」「プレゼント目当てのユーザーばかり集まる」という課題を抱える企業は少なくありません。
キャンペーン後にアカウントが閑散としてしまう。この状況を変えるには、キャンペーンを「フォロワー獲得施策」ではなく「顧客との最初の接点」として設計する必要があります。この記事では、クロス・プロップワークスの支援実績をもとに、一過性で終わらないXキャンペーンの設計と運用方法を解説します。
Xキャンペーンの特徴と可能性
多くの企業がXキャンペーンを実施する際、「とにかくフォロワーを増やすこと」を目的に設定しがちです。これは、非常によくある誤解の一つです。確かに、Xの「リポスト」機能がもたらす拡散力は他のSNSと比較しても群を抜いており、フォロワー獲得という点では即効性があります。しかし、その手軽さゆえに、「キャンペーンハンター」と呼ばれるプレゼント応募だけを目的とするユーザーを集めやすいという側面も持っています。
キャンペーンの本当の目的が売上やブランドへの関心向上にあるなら、フォロワー数だけを追う表面的な施策では成果は出ません。重要なのは、自社の製品やサービスに関心を持つ可能性のあるユーザーとの「最初の接点」としてキャンペーンを設計することです。
では、私たちが目指すべき本質的な目的とは何でしょうか。それは、単なるフォワー獲得施策ではなく、未来の顧客となりうる「質の高いコミュニティ」の入り口を戦略的に設計することです。ここでは、私たちが実際に支援した成功事例をもとに、具体的な設計ノウハウを解説します。
事例:LINE連携で継続的な関係構築に成功したホテルレストラン
福岡市内のホテルレストラン様の事例です。当初は「フォロー&リポストで食事券プレゼント」という一般的なキャンペーンを実施していました。フォロワーは一時的に約1,200人増加したものの、応募のハードルが低すぎたため、来店意欲がそこまで高くない「とりあえず応募しておく」という層も多く含まれていました。結果として、キャンペーン終了後にはエンゲージメントが著しく低下し、当選者以外との接点が完全に途切れてしまったため、実際の来店にはほとんど繋がっていませんでした。
そこで私たちは、キャンペーンのゴールを「フォロワー獲得」から「継続的にコミュニケーションが取れる関係構築」へと再設定。参加条件に「LINE公式アカウントへの友だち登録」を追加し、Xでの応募完了後、LINEで当選結果を通知するフローに変更しました。
この変更の狙いは、Xの拡散力を「知ってもらうきっかけ」として最大限活用しつつ、もう一手間をかけてくれる、より関心度の高いユーザーをLINEというクローズドな場に誘導することにあります。たとえキャンペーンで当選しなくても、LINE経由で継続的なコミュニケーションが可能になり、キャンペーン期間中に約800名のLINE友だちを獲得しました。その後、限定クーポンや新メニューを配信したところ、Xのタイムラインでは埋もれてしまう情報もプッシュ通知で直接ユーザーに届けることができ、開封率81.1%を記録。1週間で200名を超える来店予約に繋がりました。
この事例は、Xの拡散力を入り口としながら、その先の顧客関係構築まで見据えた「忘れられない仕組み」を設計することの重要性を示しています。
明日から使える、成果を出すキャンペーンの3つの要素
先の事例からもわかるように、成果を出すキャンペーン設計には、以下の3つの具体的な工夫が不可欠です。
- プレゼントの選定:誰でも嬉しい金券などではなく、自社の製品やサービスそのもの、あるいはそれに関連する体験をプレゼントに設定することが重要です。これにより、ブランドへの関心度が高い、質の良いユーザーを惹きつけることができます。
- 参加条件の工夫:単純な「フォロー&リポスト」だけでなく、「指定のハッシュタグをつけて引用リポストでコメントしてもらう」など、ユーザーに少しだけ思考や手間を加えてもらう条件を設定します。これにより、キャンペーンへの参加の質そのものを高める効果が期待できます。
- ハッシュタグ設計:企業独自のキャンペーン用ハッシュタグと、世の中で広く使われている一般的なハッシュタグ(例:「#プレゼントキャンペーン」など)を組み合わせることが基本です。これにより、既存のフォロワー以外にも広く情報を届け、新たなユーザーの目に触れる機会を創出します。
Xキャンペーン運用で成果を最大化するための5つのポイント
優れたキャンペーン設計も、それを実行する運用力が伴わなければ成果は最大化しません。キャンペーンを単発の施策で終わらせず、継続的なアカウントの成長エンジンとするためには、以下の5つの視点が重要になります。
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)を徹底的に活用する
キャンペーン参加者が投稿してくれた熱量の高い口コミ(UGC)は、何よりの資産です。素晴らしい投稿は、公式アカウントから積極的にリポストやコメントをし、他のユーザーにも紹介しましょう。これにより、投稿者本人だけでなく、それを見た他のユーザーのエンゲージメントも高まります。 - キャンペーン期間中のコミュニケーションを怠らない
キャンペーンを告知して終わり、ではありません。期間中も参加者からの質問に丁寧に回答したり、盛り上がりを実況したりと、双方向のコミュニケーションを意識することで、アカウントへの親近感を醸成できます。 - 広告を組み合わせて初速とリーチを最大化する
オーガニックな拡散だけに頼るのではなく、少額でもX広告を併用することで、届けたいターゲット層に確実にキャンペーン情報を届けることができます。これにより、キャンペーンの初速を上げ、より大きな拡散の波を生み出すきっかけをつくることが可能です。 - 終了後の「お礼」と「次への期待感」を演出する
キャンペーン終了後、当選者発表はもちろんのこと、参加してくれたすべての方への感謝を伝える投稿は必ず行いましょう。同時に、「次回はこんな企画を考えています」といった形で次への期待感を匂わせることで、フォローを継続してもらう動機付けになります。 - データに基づいた効果測定と改善を行う
キャンペーンの成否は、フォロワーの増減だけで判断できません。エンゲージメント率、プロフィールアクセス数、URLクリック数など、複数の指標で評価し、次回に活かすことが重要です。
成果につながるPDCAの回し方と今後の展望
では、具体的にどのようにPDCAサイクルを回せばよいのでしょうか。私たちが必ず行うのは、キャンペーン開始前のKGI(最終目標)とKPI(中間目標)の明確な設定です。
例えば、KGIを「キャンペーン経由でのウェブサイトからの問い合わせ数10件」と設定したならば、KPIには「フォロワー増加数」だけでなく、「キャンペーン投稿のエンゲージメント率」「プロフィールへのアクセス数」「投稿に含まれるURLのクリック数」などを設定します。
これらの数値をキャンペーン期間中から終了後にかけて定点観測し、「どの投稿文がクリックされやすかったのか」「どの時間帯の反応が良かったのか」といった仮説を立て、次の施策に活かしていくのです。多くの企業は、こうした地道な分析を外部の専門家に任せています。私たちの調査(『SNS外注利用実態調査』〔実査:2025年1月/n=18,706/オンライン〕)でも、SNS運用を外注する最大の理由は「専門知識がないため」そして「リソース不足のため」という結果が出ています。専門的な知見を持つパートナーと組むことで、この最も重要な分析と改善のサイクルを高速で回すことが可能になります。
今後の展望として、Xの「コミュニティ機能」などを活用し、キャンペーンで出会ったユーザーとよりクローズドで深い関係性を築いていく運用スタイルも注目されるでしょう。常に変化するプラットフォームの特性を捉え、ユーザーとの新しい対話の形を模索し続ける姿勢が、これからの企業アカウントには求められます。
まとめ
Xキャンペーンを成功させるには、魅力的なプレゼントだけでは不十分です。キャンペーンを未来の顧客との最初の対話機会として捉え、参加条件から終了後のコミュニケーションまでを戦略的に設計する必要があります。
実践すべきポイント:
- プレゼントは自社製品・サービスに関連したものを選ぶ
- 参加条件に一手間加えて、質の高いユーザーを集める
- LINE等への導線を設計し、継続的な関係を築く
- データを分析し、次回のキャンペーンに活かす
Xのリアルタイム性と拡散力は、正しく活用すれば大きな効果を発揮します。一過性の「バズ」ではなく、長期的な顧客関係を築くキャンペーンを目指しましょう。
キャンペーン設計や運用にお困りの際は、クロス・プロップワークスまでお気軽にご相談ください。
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