近年、コロナの影響もあり、ネットショップでの購入が増え、ECサイトを活用した経営を行う企業が増えてきています。
しかし、ECサイトを用いて売り上げを伸ばすには、商品にあった方法を選んで構築することが必要です。
今回は、構築方法の特徴や費用、作り方の手順などを紹介します。
ECサイトの構築方法の種類
ECサイトを構築する方法は大きくモール型と自社型に分けられます。
モール型ECサイト
モール型ECサイトは、複数の店舗が集まって商品を販売するオンラインショッピングサイトのことです。
有名なモール型ECサイトは、Amazonや楽天市場などです。
既に作られているプラットフォームで商品を販売することができるので、時間をかけずに誰でも簡単にECサイトを始めることができます。
しかし、出店料や販売・決済などの手数料が高くついてしまうため、利益率が低くならないよう注意しましょう。
■モール型ECサイトについて詳しくは、下記記事をご覧ください。
ECモール運用のコツ、自社ECサイトとの違いを徹底解説します!
自社型ECサイト
自社型ECサイトは、企業が自身のブランドや商品を直接販売するために構築したオンラインショッピングサイトのことです。
自社型ECサイトを作成のために利用できるサービスとしては、Shopify、BASE、EC-CUBEなどが有名です。
モール型ECと比べて、サイトのオリジナリティは出しやすいですが、開設するまでの負担が大きかったり、集客が難しいなどの欠点があります。
■ECサイト運用について知りたい方は、下記記事をご覧ください。
ECサイト運営とは?業務内容や費用、スキルを徹底解説!
自社ECサイトの種類と特徴
ECサイトの構築を行うには、まず自社のECサイトの規模にあったサービスやシステムを検討する必要があります。自社ECサイトを構築する手段は、主に下記の5つです。
・ASP
・オープンソース
・クラウドEC
・ECパッケージ
・フルスクラッチ
それぞれについて詳しく説明していきます。
ASP
ASPとは、自分でソフトウェアをインストールするのではなく、ネット上で共通のサービスを利用することを指します。ECサイトにだけに特化したサービスではなく、販売管理などの様々な形態のサービスがあり、業務に応じた機能を選択することが可能です。
<メリット>
・初期費用や月額費用が無料で提供されているものもある
・有料のASPを活用することで機能の拡充できる
・システムや機能のアップデートは提供会社が行う為、常に最新の状態で利用できる
<デメリット>
・カスタマイズができない
・自社の基幹システムや物流システムとの連携は難しい
代表的なサービス:Shopify、BASE、STORES
オープンソース
オープンソースとは、ソースコードが無償で一般に公開されているECサービスのことです。ライセンス費用がかからずデザインなどを自由にカスタマイズすることができます。
<メリット>
・初期費用を抑えられる
・拡張性が高く、外部連携もしやすい
・プラグインが豊富にそろっている
<デメリット>
・サポート体制がなく、専門的な知識がないとサイト構築が難しい
・公開されているソースを利用するため、セキュリティ面のリスクが高い
代表的なサービス:EC-CUBE、Magento
■EC-CUBEについて、詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
EC-CUBEの運用方法とは?利点や費用相場、おすすめの代行会社を紹介
クラウドEC
クラウドECとは、自社のプラットフォームではなく、クラウド上にあるプラットフォームを用いてECサイトを構築できるサービスのことです。ECパッケージや他の構築方法では、運用するためのプラットフォームを自社のサーバーにインストールしなくてはなりませんが、クラウドECではその必要がありません。クラウド環境のみでECサイトの運営が可能です。
<メリット>
・機能の追加やアップデートは自動で行われ、最新性を保持
・自社インフラが不要
・幅広いカスタマイズが可能
・セキュリティが高い
・サーバーダウンの対策が可能
<デメリット>
・価格が高い
・自社サイトのソースコードを把握していない
代表的なサービス:makeshopエンタープライズ、ebisumart
■クラウドECについて、より詳しく知りたい方は下記記事をご覧ください。
【おすすめ4選】クラウドECとは?ASPとの違い・サービス比較!
ECパッケージ
ECパッケージとは、ECサイトを構築するのに必要な機能が揃っている製品のことで、開発会社から購入し、サイトを作成します。また、カスタマイズをすることも可能なので、自由度は高く、サイトに独自性を持たせることが可能です。
<メリット>
・商品の在庫管理から外部サービスとの連携まで必要な機能がパッケージ化されている
・柔軟なカスタマイズができる
<デメリット>
・初期費用やランニングコストが高い
・サイト構築後、ユーザーのニーズやトレンドに合わせて機能やセキュリティ面でのアップデートが必要
代表的なサービス:ecbeing、EC-Orange
フルスクラッチ
フルスクラッチとは、ゼロから自社オリジナルのECサイトを構築する方法です。UNIQLOやZOZOTOWNは、自社のECサイト構築にフルスクラッチを活用しています。
<メリット>
・完全オリジナルによるデザイン性や機能性の高さ
・すべて自社で管理するため、トラブルなどの迅速な対応
<デメリット>
・サイト構築費用、ランニングコストが共に高い
・サイト構築、運営の人材確保が必要
ECサイト構築の費用相場
ここでは、前述した5つの方法でECサイトを構築する際の費用などを表にまとめました。
上記の表から見てわかるように、構築方法ごとにかかるコストが異なります。
自社の年商を踏まえた上で、それぞれの方法で生じる費用について算出し、最適な方法を選択することが必要です。
ECサイトの構築方法別料金表
ECサイトの構築手法別の費用は、以下の通りです。
ECサイト販売での手数料
ECサイトを構築する上でコストがかかるように、ECサイトを運営する上でも費用がかかります。下記のようなものが運営にかかる費用です。
・販売手数料
・決済手数料
・振り込み手数料
・オプション手数料
・支払い手数料
・事務手数料
初期費用や固定費用がかからないサービスでも、上記のような費用がかかることがあります。また、ECサイトを運営する際に上記のような手数料が全てかかるわけではなく、提供しているサービスによって異なります。
構築方法を選ぶ時と同様に、運営や販売時にかかるコストを算出し、サービスを選ぶことが必要です。
■ECサイト作成の費用について詳しくは、下記記事をご覧ください。
構築方法別のECサイト運用費用相場を紹介します!各項目の運用費用も解説
個人と企業でのECサイトの選び方
ここでは、個人と企業それぞれにあったECサイト構築方式を紹介します。
個人での小規模なECサイトの作り方と、予算があり、システムとの連携が必要になってくる企業での中・大規模なECサイトを構築するのでは、利用すべき方法が異なってきます。
自社の状況にあった方式を選びましょう。
個人向けのECサイトの作り方
個人がECサイトを構築するのに向いている方式は以下の2つです。
・ASP
・オープンソース
<ASP(無料)、オープンソース比較表>
特におすすめなものはASPです。個人の場合、予算や人手など多くの面で制限が生じます。これからECサイトを作る人にとって、初期費用は大きな壁になってくるはずです。
現在、ASPには無料で登録可能なものもあり、有料のものでも月額数千円のものが多いので、他の構築方法に比べるとコストの削減ができます。
カスタマイズができなかったり、デザインが限られているというデメリットもありますが、初期費用の面などを考慮するとASPがおすすめです。
企業向けのECサイトの作り方
企業がECサイトを構築するのに向いている方式は以下の3つです。
・クラウドEC
・ECパッケージ
・フルスクラッチ
<クラウドEC、ECパッケージ、フルスクラッチ比較表>
予算にある程度余裕がある場合は、この3つの方式から選ぶことをおすすめします。
ここからは、特におすすめの「クラウドEC」と「フルスクラッチ」について詳しく紹介します。
クラウドEC
クラウドECの特徴は何といっても費用対効果が高いことにあります。
クラウドECとASPは似ていますが、カスタマイズの幅が広いといった特徴があります。
またパッケージの要素もありますが、パッケージの場合はメンテナンスが必要で、クラウドECの場合は自動で常に最新のシステム機能が使えます。
そのため、クラウドECはASPとECパッケージの良いところを兼ね備えたサービスといえるでしょう。
そのため、費用には余裕があっても、運用に人員や時間を割くのが厳しいという企業におすすめです。
【関連記事】【おすすめ4選】クラウドECとは?ASPとの違い・サービス比較!
フルスクラッチ
フルスクラッチの特徴は、ECサイトをゼロから構築することです。
ゼロから作るため、費用や構築期間は、他の方法と比べても圧倒的にかかり、システムや機能が古くなるたびにリニューアルする必要もあります。
しかし、完全オリジナルなECサイトを作ることができ、そして、社内ですべて管理しているためPDCAを高速で回すこともできます。
そのため、個人や中小企業には向いていませんが、独自のシステム開発やカスタマイズが多かったり、資金や専門的人材などのリソースが豊富な企業にはおすすめです。
ECサイト構築の手順
ECサイトの構築の手順は、作り方によって異なります。
ここでは、5つの方法におけるサイト構築の手順についての解説します。
ASPの場合
① 無料ASPへの登録
登録の際に必要になる個人情報は、ECサイトのアドレス(ショップのURL)、メールアドレス、パスワードの3つです。ECサイトのアドレス(URL)は、無料ASPだと「独自ドメイン」と「サブドメイン」かを選択することができます。
② デザインの決定
ECサイト作成サービスでは、テンプレートが豊富にあるため、業種ごとにユーザーに認知してもらいやすいデザインがあるので、事例として出ているショップを参考にするのがおすすめです。
③ 決済関連の選定
多くの利用者が決済方法として希望するクレジットカードを中心に、ターゲットとなるユーザーが使いそうな決済手段を取り入れることが必要です。そのほかにも商品が購入されるたびにお店側が負担する決済手数料もあります。
④ 配送関連の設定
商品が売れれば、配送をしなくてはいけません。そこで必須になるのが、ユーザーに払ってもらう配送料や配送手段の決定です。
⑤ 商品の登録
商品の画像を載せて、値段や説明文を登録を行う工程です。複数画像が登録できる場合が多いので、使用している様子がわかる写真などバリエーションをつけて登録します。
オープンソースの場合
① レンタルサーバーを契約
自分でサーバーを構築する方法もありますが、レンタルサーバーを借りて、オープンソースをインストールする方法が一般的です。
② オープンソースをダウンロード
オープンソースの公式サイトから、ソフトをダウンロードし、最新版のオープンソースを入手します。有名なレンタルサーバーなどでは、オープンソースのクイックインストールが用意されており、簡単にインストールすることができます。
③ 基本設定、商品登録
商品の登録や、サイト名などのECサイトの基本設定を行います。この設定方法は、ASPと同じでブラウザの管理画面で簡単に行うことができます。
④ ECサイトのデザイン
ECサイトのデザインはテンプレートも用意されており、初めての方でも簡単にデザインすることができます。また、HTMLやCSSのスキルがあれば、自身の好みのサイトにすることも可能です。
⑤ ECサイトの公開
これらが完了したら公開です。公開後は、セキュリティを保つために最新のパッチやセキュリティモジュールをダウンロードし、ECシステムを常に最新の状態にするようにしましょう。
クラウドEC・ECパッケージ・フルスクラッチの場合
モール型やASPとはこ異なり自由にカスタマイズが可能な分、一般的なシステム開発が必要になるため、しっかりとした工程を踏んで構築を行う必要があります。
① 要件定義
企業の企画書を細分化し、必要な機能や仕組みなどをシステム要件に落とし込んで要件定義書の作成を行います。この要件定義書を元に作業を進めていくため、ベンダー側と要件のずれが生じないように綿密に打ち合わせを行うことが必要です。以降の作業はベンダー主体の作業になるので、要件定義書の段階で抜け漏れが無いように伝えることが大事です。
② 業者選定
開発を依頼する業者の選定です。業者にも得意不得意があり、同じECサイトの開発でも扱う商材によって求められる機能は異なるため、取り入れたい昨日の開発実績のある業者を探す必要があります。
③ 設計
要件定義書で出した要望を、業者側が設計していく工程です。画面の設計や機能の設計などが行われ、開発業者から様々な確認を求められます。
④ 開発
設計書に基づき、業者が開発を行う工程です。この工程では定期的に業者と打ち合わせを行い、進捗具合などを確認します。
⑤ テスト
要件定義書、設計書に書かれた通りにシステムが動くかどうかをテストします。多くの社員にテストに参加してもらい、動作の確認をしてもらうことが必要です。
ECサイト作成のポイント
ECサイトの構築をする際にいくつかのポイントに留意することが必要です。ここでは、そのポイントについて解説します。
セキュリティやサポート体制はしっかりしているか
ECサイトでは個人情報を取り扱うため、万全のセキュリティが必須です。特に、オープンソースを活用する場合には、第三者からの攻撃を受けやすくなってしまうので、構築するときにセキュリティ対策のチェックは必ず行いましょう。
カスタマイズはしやすいかどうか
ECサイトを長期間運営する際にニーズやトレンドに合わせて、新たな機能やデザインの変更が必要です。将来的に必要となる機能も見据え、追加で必要な機能の拡張が可能かどうかのチェックもしておくと良いでしょう。
ユーザ視点で構築する
ECサイトをデザインする際は、常にユーザー視点を意識することが重要です。商品を探しやすいか、購入までのフローはわかりやすいかなど、サイトを訪れたユーザーが使いやすい設計を目指します。サイトからの離脱を防ぐためにユーザーを第一に考えて、利用しやすいサイトを構築することが必要です。
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まとめ
今回はECサイト構築方法の特徴や手順について紹介しました。
ご覧いただいた通り、ECサイトの作り方は様々です。コストの面や導入のしやすさだけでなく、求める機能があるかどうかなど複数の視点から自分たちにあった構築方法を選ぶ必要があります。商材にあったECサイトを構築し、売り上げを伸ばしましょう。
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