はじめに
SNSは企業のマーケティングやブランディングにおいて欠かせないツールとなりました。
しかし、その活用にあたっては、著作権や肖像権といった法律的なリスクを考慮する必要があります。
SNS運用を取り巻く環境は日々変化しており、たとえばX(旧Twitter)では「パロディーアカウント」ラベルの導入といった新たな取り組みも始まっています。
本記事では、このような最新動向も含め、企業がSNSを安全に運用するために押さえるべき著作権・肖像権の基本と対策について解説していきます。
SNS運用における著作権と肖像権の基本知識
企業がSNSを運用する際、まず理解しておきたいのが著作権と肖像権の基本です。
この2つの権利を軽視すると、思わぬトラブルを招く可能性があり、適切な理解と運用が企業の信頼性を左右します。
著作権について
著作権は、写真、音楽、動画、イラストなど、創作性のあるコンテンツに発生する権利です。
企業がSNSに投稿するコンテンツは、多くの場合、他者が制作した素材や作品を含むことがあるため、事前に使用許諾を得ることが必要です。
特に注意すべき点として、以下が挙げられます。
【商用利用の制限】
個人利用では許可されている素材でも、企業が広告や販促に使用する場合は許諾が必要です。
【二次利用の制限】
既存の画像や動画を加工して使用する場合も、著作権者の許可が求められることがあります。
肖像権について
肖像権とは、個人の写真や映像が無断で使用されないように保護する権利です。
企業がイベント写真や顧客との記念写真をSNSに投稿する際、この権利を侵害してしまうことがあります。
以下のポイントを押さえておきましょう。
【許可の取得】
写真や動画に特定の人物が映り込んでいる場合は、事前に本人の同意を得ることが必須です。
【イベント写真の注意】
特に集合写真では、参加者全員に許可を取るか、顔をぼかすなどの対応が必要です。
著作権・肖像権トラブルの実例とその影響
SNSにおける著作権・肖像権の問題は、一歩間違えば企業の信頼性を大きく損なう可能性があります。
ここでは、実際に起きた事例を基に、その影響と対策について考えていきましょう。
著作権侵害による炎上事例
企業が第三者の著作物を無断で使用し、炎上に発展したケースは少なくありません。
たとえば、人気のあるイラストレーターの作品を許可なく広告に使用した場合、SNS上で批判が拡散し、ブランドイメージが大きく損なわれたという事例があります。
このような事態は、単なる謝罪で済まず、法的措置や損害賠償に発展する可能性もあります。
なりすましアカウントへの対応
SNS上での企業なりすましも深刻な問題となっています。
X(旧Twitter)は、このような問題に対処するため、「パロディーアカウント」ラベルを導入しました。
このラベルは、実在する企業や著名人になりすましたアカウントが投稿内容で誤解を与えたり、炎上やブランド毀損を引き起こす事態を防ぐことを目的としています。
企業にとっては、自社アカウントを正しく認識してもらうため、公式であることを示すプロファイル整備や認証バッジ取得、ユーザーへの案内といった取り組みを強化することが求められます。
We’re rolling out profile labels for parody accounts to clearly distinguish these types of accounts and their content on our platform. We designed these labels to increase transparency and to ensure that users are not deceived into thinking such accounts belong to the entity…
— Safety (@Safety) January 10, 2025
企業ブランドへのダメージ
著作権・肖像権トラブルは、企業の信頼を失い、さらに法的措置や補償による経済的な損失を引き起こす可能性もあります。
さらに、SNSの特性上、一度拡散した炎上は取り返しがつかず、企業ブランドへ長期的に悪影響を及ぼすこともあります。そのため、事前のリスク管理が不可欠です。
企業が取り組むべき対策と運用ルール
企業がSNSを安全かつ効果的に運用するには、著作権や肖像権のリスクを回避するための対策が必要です。
ここでは、企業が実践すべき具体的な対策と運用ルールについてご紹介します。
投稿前の確認事項
SNSへの投稿は、以下の点を必ず確認してから行いましょう。
<素材利用に関する確認>
・使用する画像や動画、音楽が商用利用可能か
・フリー素材の場合、利用規約やライセンス条件は適切か
・素材の加工や編集が許可されているか
<人物写真の取り扱い>
・写っている人物全員から投稿の同意を得ているか
・未成年が含まれる場合、保護者の承諾は得ているか
・撮影時に投稿目的を明確に伝えているか
社内体制の構築
安全なSNS運用には、以下のような組織的な取り組みが効果的です。
<明確なガイドラインの整備>
・投稿可能なコンテンツの基準
・著作権・肖像権の取り扱い原則
・投稿前の確認フロー
・トラブル発生時の対応手順
これらを誰もが理解できる形で文書化し、定期的な更新を行います。特に新入社員や外部スタッフが運用に関わる際は、丁寧な説明と研修が重要です。
実務に役立つツールとリソース
日々の運用を支援する便利なツールもうまく活用しましょう。
<素材の調達>
・Pexels、Pixabay:商用利用可能な高品質素材を提供
・Canva:オリジナルのデザイン制作に活用可能
※いずれも利用規約の確認は必須です
<リスク管理>
・SNSモニタリングツール:ブランドに関する投稿を監視
・スケジュール管理ツール:投稿前の確認プロセスを徹底
このような対策を総合的に実施することで、SNSの効果的な活用とリスク管理の両立が可能になります。
ただし、ツールに頼りすぎず、最終的な判断は人の目で行うことを忘れないようにしましょう。
まとめ
SNSは強力なコミュニケーションツールですが、著作権や肖像権への配慮を欠けば、企業の信頼を大きく損なうリスクとなります。
しかし、適切な権利処理と慎重な運用により、企業としての信頼性を高めるチャンスともいえます。
日々の確認と配慮の積み重ねが、強固なブランド価値の構築につながっていくのです。
この記事で解説した基本的な知識と対策を土台に、自社に適した安全で効果的な運用方針を確立していただければと思います。
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