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SNSマーケティングのKPI設定方法!成功のための指標を解説~成果を可視化し、改善サイクルを回すための実践的ガイド~

SNSマーケティングのKPI設定方法!成功のための指標を解説

「SNSの投稿は続けているけれど、本当に成果に繋がっているのだろうか?」このような疑問や不安を抱えている担当者様がいらっしゃるのではないでしょうか。ただ闇雲に投稿を続けるだけでは、SNSマーケティングは航海図のない船旅のようなものです。どこに向かっているのか、現在地はどこなのか、そして目的地にどうすればたどり着けるのかが分かりません。

この記事では、SNSマーケティングという航海を成功に導くための「道しるべ」、すなわちKPI(重要業績評価指標)の設定方法について、分かりやすく解説します。一般的な理論だけでなく、私たちのようなSNS運用代行サービスの現場だからこそわかる実践的な視点や、実際のデータに基づいた考え方を交えながら、明日から使える知見をお届けします。正しいKPIを設定することで、施策の成果が可視化され、確かな手応えを感じながらSNS運用を進めることができるようになります。

企業向けSNSマーケティング戦略についてより包括的な情報をお求めの方は、企業向けSNSマーケティング戦略の立て方をご確認ください。
企業向けSNSマーケティング戦略の立て方

目次

SNSマーケティングにおけるKPIの役割とは

まず、SNSマーケティングの成果を測る上で欠かせない「KPI」と「KGI」という二つの言葉を理解することから始めましょう。これらは、ビジネスの目標設定において基本となる考え方です。SNSマーケティングを成功させるには、「KGI(KeyGoalIndicator)」と「KPI(KeyPerformanceIndicator)」という2つの指標を正しく設定することが不可欠です。

KGIは「重要目標達成指標」と訳され、SNSマーケティング活動を通じて達成したい事業全体の最終ゴールを指します。例えば、「Instagram経由での問い合わせを月20件獲得する」や「ECサイトの売上を100万円アップさせる」といった、ビジネスの成果そのものがKGIとなります。

一方、KPIは「重要業績評価指標」と呼ばれ、このKGIを達成するための具体的なアクションの達成度を測る中間指標です。

この関係性を、私たちが実際に飲食店のクライアント様にご提案した際の例で見てみましょう。そのクライアント様のKGIは「LINEからの月間売上目標213,000円」でした。この最終ゴールを達成するために、私たちはLINEの運用において追うべき2つのKPIを設定しました。それは「①配信のクリック率30%」「②クーポン利用率を有効友だち数の2.5%に」というものです。

なぜなら、「LINEのメッセージを読んで、より多くの方がリンクをクリックしてくれること(クリック率向上)」、そして「クリックした先にあるクーポンを、より多くの方が実際に使ってくれること(クーポン利用率向上)」が、最終的な「売上(KGI)」に直接繋がるからです。

このように、KGIから逆算して、その達成に不可欠なSNS上の行動を具体的な数値目標として設定したものがKPIなのです。

BtoC企業の具体的なSNS成功事例について知りたい方は、BtoC企業のSNSマーケティング成功事例5選!をご確認ください。

SNSマーケティングでよく使われるKPIの種類

KPIには様々な種類があり、SNS運用の目的によって使い分けることが重要です。ここでは、代表的なKPIを目的別に整理してご紹介します。

①ブランドの認知度を高めるためのKPI

まずは、より多くの人に自社のブランドや商品を知ってもらう「認知拡大」を目的とする場合のKPIです。

  • インプレッション数:投稿がユーザーの画面に表示された合計回数です。同じユーザーが複数回見れば、その都度カウントされます。
  • リーチ数:投稿を見たユニークユーザーの数です。一人のユーザーが何度見ても「1」とカウントされます。
  • フォロワー数:アカウントをフォローしているユーザーの数です。アカウントの人気度や影響力を測る基本的な指標となります。

②顧客との関係を深めるためのKPI

次に、ユーザーとのコミュニケーションを通じてファンを育てる「エンゲージメント向上」を目的とする場合のKPIです。

  • エンゲージメント数・率:投稿に対するユーザーの反応(いいね、コメント、シェアなど)の総数、またはそれをリーチ数やインプレッション数で割った割合です。コンテンツの魅力度を測る重要な指標です。
  • コメント数:投稿に対して寄せられたコメントの数です。ユーザーの関心の高さや、コミュニケーションの活発さを示します。
  • 保存数:ユーザーが「後でもう一度見たい」と考えて投稿を保存した数です。

ここで一つ、私たちが現場で特に重要視している指標についてお話しします。それは「保存数」です。「いいね」も嬉しい反応ですが、これは比較的気軽に行える一時的な感情表現です。しかし、「保存」という行動は、ユーザーがその情報を「自分にとって価値がある」「後で役立てたい」と判断した明確な証拠です。

実際に、私たちが支援したあるクライアント様では、商品の写真をプロが撮影した綺麗なものから、あえてスマートフォンで撮影した「日常になじむ」写真に変更し、利用者の口コミを添えるといった改善を行いました。その結果、いいね数が150%UPしただけでなく、保存数は200%UPという大きな成果に繋がりました。これは、ユーザーが求めていたのが「広告のような綺麗な写真」ではなく、「実際に使っているイメージが湧くリアルな情報」であったことを示しています。このように、保存数はコンテンツの質とユーザーの深い関心を測る上で、いいね数以上に重要なKPIとなり得るのです。

③売上や来店に繋げるためのKPI

最後に、実際の購買行動や来店を促す「コンバージョン獲得」を目的とする場合のKPIです。

  • ウェブサイトクリック数(流入数):投稿やプロフィールから自社のウェブサイトへ遷移した数です。SNSからビジネスの拠点へユーザーを誘導できたかを示します。
  • コンバージョン(CV)率:ウェブサイトを訪れたユーザーのうち、商品購入や問い合わせといった最終成果(コンバージョン)に至った割合です。
  • CPA(顧客獲得単価):一人の顧客を獲得するためにかかった広告費用です。広告の費用対効果を測る際に用いられます。

SNSマーケティングのROI計測について詳しく知りたい方は、SNSマーケティングのROI計測方法!費用対効果を最大化するをご確認ください。

これらのKPIを正しく理解し、自社の目的に合わせて選択することが、効果的なSNS運用の第一歩となります。

振り返りがしやすいSNSのKPI設定4ステップ

では、具体的にどのようにKPIを設定すれば良いのでしょうか。ここでは、私たちがSNS運用代行サービスの現場で実践している、振り返りがしやすい4つのステップをご紹介します。

①KGI(最終目標)を明確にする

まず最も重要なのは、「SNS運用を通じて、ビジネスとして最終的に何を達成したいのか」というKGIを明確にすることです。よくある失敗例として、「フォロワーを増やしたい」という漠然とした目標からスタートしてしまうケースがあります。しかし、フォロワー数そのものは、直接的な売上には繋がりません。

私たちの調査でも、企業がSNSを運用する目的は「ブランド認知度の向上(Instagramで66.4%)」から「売上や集客の増加(同49.7%)」まで多岐にわたります。もしKGIが「ブランド認知度」であれば、KPIは「リーチ数」や「インプレッション数」が中心になります。一方でKGIが「売上増加」であれば、KPIは「ウェブサイトクリック数」や「コンバージョン率」を重視すべきです。このように、出発点であるKGIが定まって初めて、進むべき方向と測るべきKPIが決まるのです。

②KGI達成までのプロセスを分解する

KGIが決まったら、次にそのゴールに至るまでのユーザーの行動プロセスを分解して考えます。例えば、KGIが「ECサイトでの売上100万円」だとします。そのプロセスは、以下のように分解できます。

売上=ECサイト訪問者数×購入率×平均購入単価

この式から、売上を上げるためには「サイト訪問者数」「購入率」「購入単価」のいずれかを向上させる必要があることが分かります。そして、SNSの役割は主に「サイト訪問者数を増やす」ことにあると定義できます。

③KPIを選定し、具体的な数値目標を立てる

プロセスを分解できたら、SNSが貢献できる部分に対応する指標をKPIとして選び、具体的な数値目標を設定します。この際、「SMARTの法則」というフレームワークを意識すると、より効果的なKPIを設定できます。

  • S(Specific):具体的で分かりやすいか(例:「ウェブサイトクリック数」)
  • M(Measurable):測定可能か(例:「月間1,000クリック」)
  • A(Achievable):達成可能か(例:過去のデータから現実的な目標か)
  • R(Relevant):KGIと関連しているか(例:クリック数増が売上増に繋がるか)
  • T(Time-bound):期限が明確か(例:「3ヶ月後までに」)

このフレームワークに沿って、「3ヶ月後までに、SNS経由のウェブサイトクリック数を月間1,000クリックにする」といった、誰が見ても明確で、達成可能かつ測定可能なKPIを設定します。

④測定と改善のサイクルを回す

KPIを設定したら、それで終わりではありません。むしろここからが本番です。定期的に(例えば週次や月次で)KPIの進捗を確認し、目標達成に向けて施策が機能しているかを評価します。そして、結果に基づいて「なぜ上手くいったのか」「なぜ目標に届かなかったのか」を分析し、次のアクションプランに繋げていくのです。

実は、SNS運用が成功している企業とそうでない企業を分ける最大の要因は、この「改善サイクルを回せているか」にあります。私たちの調査によると、SNS運用が上手くいっている要因のトップは「データ分析による改善サイクルが実行できている」という回答でした。一方で、企業がSNS運用代行サービスを利用する理由のトップは「専門知識がないため」です。この二つのデータは、多くの企業が成功の鍵を握る「データ分析と改善」という活動に、専門知識の不足から着手できずにいる現状を示唆しています。

SNSマーケティングの効果測定について詳しく知りたい方は、SNSマーケティングの効果測定方法とデータ活用のポイントをご確認ください。

KPIは設定するだけでは意味がなく、それを基に学び、改善を繰り返すプロセスこそが、成果を出すための最も重要な活動なのです。

SNS運用のPDCAについて詳しく知りたい方は、SNS運用のPDCAを回して成果を最大化する方法をご確認ください。

【目的・プラットフォーム別】SNS運用におけるKPI設定例

最後に、具体的なビジネス目的と各SNSプラットフォームの特性に合わせて、どのようなKPIを設定すべきか、実例を交えてご紹介します。

Instagram:ビジュアルで購買意欲を刺激する

Instagramは、ビジュアルコンテンツが中心のプラットフォームです。私たちの調査でも、ユーザーの32.8%がInstagramをきっかけに商品を購入した経験があり、特に「美容・コスメ」や「ファッション」といったカテゴリーでの購買行動が活発です。ブランド認知向上が目的なら、「リーチ数」や「フォロワー増加数」をKPIに設定し、どれだけ多くの人に投稿が届いたかを測ります。

販売促進が目的なら、「ストーリーズからのウェブサイトクリック数」や、ECサイトと連携した「コンバージョン率」が重要なKPIとなります。

Instagramでのマーケティング戦略について詳しく知りたい方は、Instagramを活用したBtoC企業の成功事例と運用ポイントをご確認ください。

X(旧Twitter):リアルタイム性と拡散力で話題を創出する

X(旧Twitter)の強みは、情報の即時性とリポスト(リツイート)による高い拡散力です。

新商品の発表やキャンペーンの告知で話題を広げたい場合は、「リポスト数」や「メンション数(自社アカウントへの言及数)」をKPIに設定します。

顧客とのコミュニケーションを重視するなら、「リプライ数(返信数)」を追いかけることで、ユーザーとの対話の活発さを測ることができます。

Twitterでの戦略的な運用について詳しく知りたい方は、Twitterを活用したBtoC企業の成功事例と運用ポイントをご確認ください。

TikTok:ショート動画で若年層にリーチする

TikTokは、ショート動画を通じて若年層を中心に爆発的に情報が広がる可能性があります。

バイラルな認知拡大を狙うなら、「動画再生回数」が最も分かりやすいKPIです。

コンテンツの質を深く測るためには、ユーザーがどれだけ動画を最後まで見てくれたかを示す「フル視聴率」や、他のユーザーに共有された数を示す「シェア数」も重要なKPIとなります。

TikTokでの戦略的な運用について詳しく知りたい方は、TikTokを活用したBtoC企業の成功事例と運用ポイントをご確認ください。

LINE:クローズドな関係でリピートを促進する

LINEは、友だち登録してくれたユーザーと1対1に近い形でコミュニケーションが取れるため、顧客との関係維持やリピート促進に非常に強力なツールです。

顧客との関係維持が目的なら、「メッセージ開封率」や「ブロック率」をKPIに設定し、ユーザーが情報を迷惑に感じていないかを測ります。

来店や再購入を促す場合は、「メッセージ内のリンククリック率」や「クーポン利用率」が直接的な成果に繋がるKPIとなります。

実際に私たちが支援したクライアント様の事例では、過去のイベントに反応したユーザーだけに絞って「大好評につき再開催!」というメッセージを送ったところ、開封率が81.1%という非常に高い数値を記録しました。これは、ターゲットを絞った適切なコミュニケーションが、いかに高いエンゲージメントを生むかを示す好例です。

これらの例をまとめた、目的とプラットフォーム別の主要KPI早見表も、ぜひ参考にしてください。

目的InstagramX(旧Twitter)LINETikTok
ブランド認知向上リーチ数インプレッション数インプレッション数リツイート数友だち追加数ターゲットリーチ数動画再生回数リーチ数
顧客育成・ファン化エンゲージメント率保存数返信数いいね数メッセージ開封率ブロック率コメント数いいね数
販売促進・来店誘導サイトクリック数コンバージョン率リンククリック数メンション数クリック率クーポン利用率サイトクリック数アカウント遷移率

まとめ:KPI設定はゴールではなく、成果を出すためのスタート地点

SNSマーケティングにおいて、KPIは単なる数字ではありません。それは、自社の戦略が正しい方向に進んでいるかを示してくれる「道しるべ」です。なんとなく投稿を続けるのではなく、明確なKGI(最終目標)を設定し、そこから逆算したKPIを追いかけることで、SNS運用は初めて「コスト」から「投資」へと変わります。

この記事でご紹介したように、KPIの種類は多岐にわたり、ビジネスの目的やプラットフォームの特性によって最適な指標は異なります。大切なのは、自社のゴールに最も関連性の高い指標を見つけ出し、それを継続的に測定し、改善に繋げていくことです。KPIの設定は第一歩に過ぎません。その数値をどう解釈し、次のアクションにどう活かすかというサイクルを回し続けることこそが、SNSマーケティングを成功に導く真の鍵となります。もし、この航海で道に迷ったり、より早く目的地に着くための専門的な航海士が必要だと感じたら、私たちのようなSNS運用代行サービスの専門家にご相談いただくのも一つの有効な選択肢です。この記事が、あなたの会社のSNSマーケティングを成功に導く一助となれば幸いです。

SNS運用レポートの作成方法について知りたい方は、SNS運用レポートの作り方!データを活用して戦略を改善をご確認ください。

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