Facebook広告の管理画面を開いて、ターゲティング設定の複雑さに圧倒された経験はありませんか。私たちクロス‧プロップワークスが日々お客様から受けるご相談の中でも、「ターゲティングの選択肢が多すぎて、何を選べばいいかわからない」という声をよくいただきます。実は、Facebook広告で成果が出ない企業様の約7割が、ターゲティング設定の段階でつまずいているのです。今回は、私たちの運用実績から導き出した、本当に成果につながるターゲティング設定の極意をお伝えします。
ターゲティングの基本構造を理解しよう
Facebook広告のターゲティングを理解する上で、多くの企業様が最初に混乱するのが「オーディエンス」という概念です。「ターゲット」と「オーディエンス」は何が違うのか、なぜFacebookは3種類ものオーディエンスを用意しているのか。実は、この構造を正しく理解できているかどうかが、広告成果の分かれ道になります。
コアオーディエンス:新規顧客を探す基本の型
コアオーディエンスは、Facebookが保有する膨大なユーザーデータから、条件を指定して配信対象を絞り込む最も基本的な方法です。年齢、性別、地域、興味関心など、実に数百もの条件から選択できます。
私たちが支援している、ある地方の美容クリニック様の事例をご紹介しましょう。当初は「30代から50代の女性」という大雑把なターゲティングで配信していましたが、CPAが8,000円と高止まりしていました。そこで、「美容医療に興味がある」「アンチエイジングに関心がある」「世帯年収700万円以上」という条件を追加したところ、CPAが3,200円まで改善しました。
重要なのは、ただ条件を増やせばいいわけではないということです。条件を絞りすぎると配信ボリュームが確保できず、広告の学習が進みません。(広告の学習とは、FacebookのAIが、どのような人に広告を表示すれば成果につながりやすいかをデータに基づいて学んでいくプロセスのことです。この学習には一定のデータ量が必要なため、配信対象が少なすぎるとAIが十分に賢くなれず、結果的に広告効果が頭打ちになってしまいます。)私たちの経験則では、推定リーチ数が最低でも10万人以上になるよう設定することをお勧めしています。
カスタムオーディエンス:既存の接点を最大限活用
カスタムオーディエンスは、すでに自社と何らかの接点を持っているユーザーに配信する方法です。顧客リスト、ウェブサイト訪問者、アプリ利用者など、「温度感の高い」ユーザーにピンポイントでアプローチできるのが最大の特徴です。
私たちの2024年の運用データを分析すると、カスタムオーディエンスのCVRは平均8.3%と、コアオーディエンスの2.1%と比較して約4倍の成果を出しています。特に効果的なのが、カート放棄ユーザーへのリターゲティングです。あるECサイト様では、カートに商品を入れたまま離脱したユーザーに対して、24時間以内に広告を配信することで、実に32%のユーザーを購入完了まで導くことに成功しました。
類似オーディエンス:AIの力で優良顧客を増やす
類似オーディエンスは、FacebookのAIが既存の優良顧客と似た特徴を持つ新規ユーザーを自動的に見つけ出してくれる機能です。この機能を利用するには、元となるデータ(ソースオーディエンス)として、ウェブサイト訪問者や既存の顧客リストなどの「カスタムオーディエンス」が事前に必要となります。「そんな都合のいい話があるのか」と思われるかもしれませんが、適切に設定すれば、新規顧客獲得の切り札になります。
ポイントは、ソースオーディエンス(元となるデータ)の質です。単に「購入者全員」ではなく、「LTVが上位20%の顧客」「3回以上リピート購入した顧客」など、本当に獲得したい顧客層に絞ることが重要です。私たちが支援したサブスクリプション型のサービス企業様では、継続率の高い顧客データをソースにした類似オーディエンスを作成した結果、新規獲得したユーザーの6ヶ月継続率が従来の42%から71%まで向上しました。
セグメント別ターゲティング設定のポイント
ターゲティングの基本構造を理解したら、次は具体的な設定方法です。ここでよくある間違いが、「とりあえず自社商品を買いそうな人全員に配信する」という考え方です。これでは広告費が無駄になるだけでなく、本当に届けたい人に届かない可能性があります。
年齢・性別設定の落とし穴
「うちの商品は30代女性向けだから、30代女性に配信すればいい」これは半分正解で、半分間違いです。なぜなら、実際の購買データと思い込みにはズレがあることが多いからです。
私たちが支援した化粧品メーカー様の事例が印象的でした。「40代女性向けのアンチエイジング商品」という位置づけでしたが、実際の購買データを分析すると、なんと購入者の28%が50代後半から60代前半の女性だったのです。そこで、ターゲット年齢を45歳から65歳に広げたところ、CPAを維持したまま、コンバージョン数が1.8倍に増加しました。
地域ターゲティングの賢い使い方
地域設定は単純に見えて、実は奥が深い機能です。「この地域に住んでいる人」「最近この地域にいた人」「この地域を旅行中の人」という3つのオプションがあり、ビジネスモデルによって使い分ける必要があります。
| ビジネスタイプ | 推奨設定 | 理由 |
|---|---|---|
| 地域密着型店舗 | この地域に住んでいる人 | 日常的に来店可能な顧客を獲得 |
| 観光地の飲食店 | この地域を旅行中の人 | 観光客をメインターゲットに |
| イベント・セミナー | 最近この地域にいた人 | 通勤・通学者も含めて幅広く |
興味関心ターゲティングの組み合わせ術
Facebookの興味関心ターゲティングは、単体で使うよりも複数組み合わせることで真価を発揮します。ただし、「AND条件」と「OR条件」の違いを理解していないと、思わぬ落とし穴にはまります。
例えば、高級時計を販売する企業様の場合、「高級時計に興味がある」だけでは不十分です。私たちは「高級時計」AND「投資」AND「ゴルフまたは高級車」という組み合わせを提案し、購買力の高い層に絞り込みました。結果、クリック率は下がりましたが、CVRが3.2倍に向上し、最終的なROASは420%を達成しました。
カスタムオーディエンスで”知ってる人”に届ける
カスタムオーディエンスの真の価値は、すでに自社を知っている人に、最適なタイミングで、最適なメッセージを届けられることにあります。しかし、多くの企業様が「リスト登録したけど、思ったような成果が出ない」と悩んでいます。
顧客リストの質を高める3つの方法
まず重要なのが、アップロードする顧客リストの質です。「とりあえず全顧客のメールアドレスを登録」では、効果的な配信はできません。私たちが推奨するのは、以下の3つの切り分けです。
- 購買頻度による分類
直近3ヶ月以内の購入者、6ヶ月以内、1年以内と分けることで、それぞれに適したメッセージを配信できます。ある健康食品通販企業様では、3ヶ月以内の購入者には新商品訴求、1年以内の休眠顧客には「お久しぶりです」というメッセージとともに復活クーポンを配信し、休眠顧客の18%を呼び戻すことに成功しました。 - 購買金額による分類
VIP顧客と一般顧客では、求めるものが違います。累計購買金額10万円以上の顧客には、限定商品や先行販売の案内を配信することで、ブランドロイヤリティを高めながら、LTVを向上させることができます。 - 商品カテゴリによる分類
複数の商品カテゴリを扱っている場合、購買履歴に基づいたセグメント分けが有効です。私たちが支援したアパレル企業様では、「ビジネスウェア購入者」と「カジュアルウェア購入者」を分けて配信したところ、クロスセル率が2.3倍に向上しました。
ウェブサイト訪問者の行動別アプローチ
Facebookピクセルを活用すれば、ウェブサイト訪問者の行動に基づいた精緻なターゲティングが可能です。ただし、すべての訪問者を同じように扱ってはいけません。
私たちの運用では、以下のような行動別セグメントを作成しています。
- 商品詳細ページを3回以上見た人:購買意欲が高いため、期間限定クーポンや在庫残りわずかといった、購買を後押しするメッセージが効果的です。
- 価格ページを見た人:価格を気にしているため、セール情報や、キャンペーンの訴求が響きます。
- FAQ・返品ページを見た人:不安を抱えているため、お客様の声や保証内容を強調した広告が有効です。
類似オーディエンスで”未来の顧客”を見つける
類似オーディエンスは、Facebook広告の中でも特に強力な機能ですが、設定を間違えると全く成果が出ないこともあります。私たちの経験から、成功と失敗を分ける重要なポイントをお伝えします。
ソースオーディエンスの最適サイズ
類似オーディエンスを作成する際、元となるソースオーディエンスのサイズは非常に重要です。Facebookは最低100人から作成可能としていますが、私たちの経験では最低1,000人、理想は5,000人以上のデータがあると、精度の高い類似オーディエンスが作成できます。
ある不動産会社様の事例では、当初200人の成約顧客データで類似オーディエンスを作成していましたが、成果が安定しませんでした。そこで、資料請求者3,000人のデータに変更し、その中でも「3ページ以上資料を閲覧した人」に絞って類似オーディエンスを作成したところ、リード獲得単価が62%改善しました。
類似度の使い分け戦略
類似オーディエンスは1%から10%まで類似度を設定できますが、この数値の使い分けが成果を大きく左右します。
| 類似度 | 特徴 | 適した用途 |
|---|---|---|
| 1〜2% | 最も類似性が高い | 高単価商品、ニッチ市場 |
| 3〜5% | バランス型 | 一般的な商品・サービス |
| 6〜10% | リーチ重視 | 認知拡大、ブランディング |
私たちが支援した高級家具メーカー様では、最初は1%の類似度で配信していましたが、配信ボリュームが少なく、CPM(広告が1,000回表示されるごとにかかる費用)が高騰していました。そこで、段階的アプローチを採用しました。まず3%で配信してデータを蓄積し、成果の良かったユーザーで再度1%の類似オーディエンスを作成。この2段階方式により、品質を保ちながら、配信ボリュームを3倍に拡大することに成功しました。
除外設定で無駄を省く
意外と見落とされがちなのが、類似オーディエンスからの除外設定です。せっかく新規顧客を探しているのに、既存顧客に配信してしまっては意味がありません。
必ず除外すべきオーディエンス例:
- 過去180日以内の購入者
- メールマガジン登録者
- アプリインストール済みユーザー
この除外設定を行うだけで、広告費の無駄を20%から30%削減できることも珍しくありません。
ターゲティング設定を成功に導く5つの鉄則
最後に、私たちがこれまでの運用経験から導き出した、ターゲティング設定で絶対に外してはいけない5つの鉄則をお伝えします。
鉄則1:最初は広く、徐々に狭く
多くの企業様が最初から細かくターゲティングしすぎて失敗します。まずは少し広めに設定し、2週間程度データを蓄積してから、成果の良いセグメントに絞り込むのが正解です。
鉄則2:オーディエンスの重複を避ける
複数のキャンペーンで同じオーディエンスをターゲットにすると、自社広告同士で競合してCPMが上昇します。オーディエンスの重複率は20%以下に抑えることを目標にしてください。
鉄則3:季節性を考慮する
ターゲティングは一度設定したら終わりではありません。例えば、エアコンクリーニングサービスなら、春は花粉症対策、夏は冷房効率、秋はカビ対策と、季節に応じて興味関心ターゲティングを調整する必要があります。
鉄則4:競合の動きを観察する
Facebook広告ライブラリで競合他社のターゲティング傾向を推測できます。ただし、真似をするのではなく、競合が狙っていない層を発見することが差別化につながります。
鉄則5:定期的な見直しとメンテナンス
オーディエンスリストは生き物です。顧客の属性は変化し、ウェブサイト訪問者の質も変わります。最低でも月1回はオーディエンスのperformanceを確認し、必要に応じて更新してください。
まとめ:ターゲティングの精度が広告成果を決める
Facebook広告のターゲティング機能は、正しく使えば強力な武器になりますが、設定を誤ると広告費を無駄にしてしまいます。コアオーディエンス、カスタムオーディエンス、類似オーディエンスそれぞれの特性を理解し、自社のビジネスモデルや商材に合わせて使い分けることが重要です。
特に重要なのは、思い込みではなく、データに基づいてターゲティングを設定することです。私たちクロス‧プロップワークスが支援させていただいた企業様の多くが、当初の想定とは異なる層が実は優良顧客だったという発見をしています。
ターゲティングの最適化は一朝一夕にはできません。しかし、今回ご紹介したポイントを一つずつ実践していけば、必ず成果は向上します。まずは現在の設定を見直し、小さな改善から始めてみてください。その積み重ねが、広告費用対効果の大幅な改善につながるはずです。
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