SNSで「バズる」ことを目標に掲げる企業は少なくありません。しかし、私たちが数多くの企業アカウントの運用支援を行ってきた経験から申し上げると、「バズ」を目的化した瞬間、SNS運用は失敗への道を歩み始めるというのが実情です。本記事では、実際にX(旧Twitter)で大きな話題を呼んだ企業投稿の事例を紐解きながら、その背景にある本質的な成功要因と、明日から自社のSNS運用に活かせる実践的なポイントを解説していきます。
なぜ「バズ狙い」のSNS運用は失敗するのか
「ウチもSNSでバズって、一気に認知を広げたい」というご相談は、私たちが企業様からいただく中でも特に多いものの一つです。そのお気持ちは十分に理解できます。しかし、正直に申し上げると、バズだけを追い求めるSNS運用は、多くの場合、期待した成果に繋がりません。
その理由は明確です。一時的に数万のインプレッションを獲得したとしても、それが自社の商品やサービスに関心を持つ層に届いていなければ、売上にもファン獲得にも繋がらないからです。私たちが2024年12月に実施したSNS運用外注利用実態調査では、SNS運用が上手くいっている企業に共通する要因として「データ分析による改善サイクルが実行できている」ことが挙げられています。つまり、成果を出している企業は、バズの「数」ではなく、施策の「質」と「継続性」に注力しているのです。
では、話題になった企業の投稿には何の価値もないのでしょうか。もちろん、そうではありません。重要なのは、バズった投稿の表面的なフォーマットを真似することではなく、その背景にある戦略的な意図とユーザー心理への理解を読み解くことにあります。
バズった投稿の本質を読み解く3つの視点
SNSで大きな反響を呼んだ企業投稿を分析すると、単なる偶然やラッキーではなく、いくつかの共通した本質的な要素が見えてきます。ここでは、その核心となる3つの視点をご紹介します。
視点1:ユーザーが「参加したくなる」余白を残す
バズった投稿の多くに共通するのは、完璧に作り込まれた広告ではなく、ユーザーが思わずコメントしたくなる、シェアしたくなる「余白」が意図的に残されているという点です。
例えば、あるスーパーマーケットがクリスマスイブに投稿した内容を見てみましょう。クリスマスといえばチキンが定番ですが、そのスーパーは「チキンすぎて滅」というユーモラスなテキストとともに、銀のお皿に鮮やかなサーモンを載せた写真を投稿しました。この投稿は252万件もの表示を記録し、4.7万件のいいねを獲得しています。
この投稿が拡散された理由は、サーモンの美しさだけではありません。「クリスマスにチキンではなくサーモン」という常識からのズレが、ユーザーの「ツッコミ」や「共感」を誘発したからです。「確かにチキン争奪戦は疲れる」「うちもサーモン派です」といった反応が生まれやすい設計になっているのです。
同様に、ある九州のうどんチェーン店は、クリスマスイブ当日に自社のうどんの写真をシンプルに投稿しました。
一見するとクリスマスらしい華やかさは控えめですが、よく見ると青ねぎをクリスマスツリーに見立てた盛り付けになっています。この「さりげない遊び心」が逆にユーザーの心を掴み、「これでいいんだよ」「むしろこれがいい」という共感のコメントが多数寄せられました。ユーザーに「語る余地」を与えることが、結果としてエンゲージメントを高めるという好例です。
視点2:ブランドの「らしさ」が自然ににじみ出ている
話題になる投稿は、必ずしもトレンドに乗った派手なものとは限りません。むしろ、その企業やブランドならではの視点や価値観が自然に表現されている投稿が、長期的にファンの心を掴みます。
京都のあるタクシー会社の公式アカウントは、自社のドライバーが撮影した写真を定期的に投稿しています。
プロのカメラマンではなく、日々街を走るドライバーだからこそ切り取れる風景。それが「ドライバー撮影」というクレジットとともに発信されることで、タクシー会社という業態と京都という土地への愛着が、押しつけがましくなく伝わってくるのです。
この投稿スタイルは、一朝一夕でバズを狙ったものではありません。継続的に発信し続けることで、「このアカウントをフォローしていると、京都の美しい風景が見られる」という価値を確立しています。これこそが、私たちが常々提唱している「短期的なバズよりも、長期的なコミュニティという資産を築く」という考え方の実践例です。
視点3:トレンドを「自社ならでは」に翻訳している
Xでトレンドになっている話題やフォーマットに乗ることは、タイムラインでの露出を増やす有効な手段です。しかし、単にトレンドを模倣するのではなく、自社の商品やサービスの文脈で「翻訳」できているかどうかが、成功と失敗を分けるポイントになります。
ある乳業メーカーは、Xで話題になっていた「ヨーグルトにビスケットを刺して一晩置くとチーズケーキになる」というレシピに反応し、自社のヨーグルト商品で実際に試してみた投稿を行いました。「中の人も流行りに乗ってみました!」という親しみやすいテキストとともに、実験の様子を写真で紹介したのです。
この投稿は約12万件の表示を獲得し、1,200件以上のいいねを集めました。成功の要因は、単にトレンドに便乗したからではありません。「生乳100%のヨーグルトで作るとおいしい」という情報をユーザーから拾い上げ、それを自社商品の強みと結びつけた点にあります。トレンドを入り口にしながらも、しっかりと自社商品の価値を伝える設計になっているのです。
また、ある大手菓子メーカーは、別のキャラクターアカウントが投稿した内容に対して、即座に引用リポストで反応しました。
元の投稿が「全方位かわいい」と自社キャラクターを紹介していたのに対し、自社の商品を「こちらも全方位かわいい」と紹介したのです。このスピード感のある掛け合いがユーザーの間で話題となり、両方のアカウントの認知度向上に繋がりました。
バズを「成果」に繋げるために必要な設計思想
ここまで、話題になった投稿の背景にある本質的な要素を見てきました。しかし、本当に重要なのは、これらの投稿が単発のヒットで終わるのか、それとも継続的な成果に繋がるのかという点です。
私たちがSNS運用代行サービスを通じて多くの企業様をご支援してきた経験から言えるのは、バズった投稿を持つ企業の中でも、それを売上やファン獲得に繋げられている企業とそうでない企業には明確な違いがあるということです。
「認知」から「行動」への導線を設計する
バズによって得られた認知を無駄にしないためには、ユーザーが次に取るべきアクションへの導線が設計されている必要があります。
私たちが支援を行っている、ある地方の和食店の事例をご紹介します。この店舗では、LINE公式アカウントを活用した定期的な配信を行っているのですが、あるキャンペーンの配信では、前回の開封者のみに絞り込んで再告知を行いました。その結果、開封率は81.1%という非常に高い数値を記録し、「大好評につき再開催!」という文言が関心を引いたと分析しています。
この事例が示しているのは、一度接点を持ったユーザーに対して、適切なタイミングで適切な情報を届ける仕組みがあれば、SNSは確実に売上に貢献するということです。バズ投稿で新たなフォロワーを獲得できたとしても、その後のコミュニケーション設計がなければ、せっかくの認知は一過性のもので終わってしまいます。
「継続」こそが最大の差別化要因になる
SNS運用において、多くの企業が見落としがちなのが「継続」の価値です。先ほどのタクシー会社の事例のように、一つ一つの投稿は地味であっても、それを毎日、毎週と積み重ねることで、フォロワーの間に「期待感」と「習慣」が生まれます。
私たちが支援を行っている別の事例では、ある飲食店がLINE配信において、参加型の抽選企画を不定期で実施しています。その結果、1週間で200を超える来店に繋がったこともあります。店舗オーナーからは「お客さんから『次の配信を楽しみにしているよ』と声をかけてもらえるようになった」というお声もいただいています。
SNS運用の本質は、一発のホームランを狙うことではなく、コツコツとヒットを積み重ね、信頼関係を築いていくことにあります。
明日から実践できる3つのアクション
最後に、本記事でお伝えしてきた内容を踏まえ、明日からのSNS運用に活かせる具体的なアクションをお伝えします。
アクション1:自社の「らしさ」を言語化する
まず取り組んでいただきたいのは、自社のブランドや商品の「らしさ」とは何かを改めて言語化することです。話題になる投稿の多くは、その企業ならではの視点や価値観が反映されています。何を大切にしているのか、どんな姿勢で顧客と向き合っているのか。それを明確にすることで、投稿の方向性が定まり、一貫性のあるアカウント運用が可能になります。
アクション2:ユーザーの「反応」を観察する習慣をつける
次に重要なのは、投稿に対するユーザーの反応を丁寧に観察する習慣をつけることです。どの投稿にいいねが集まったのか、どんなコメントが寄せられたのか。それを分析することで、自社のフォロワーが何に関心を持っているのかが見えてきます。2024年12月の弊社調査でも、SNS運用が上手くいっている企業の共通点として「データ分析による改善サイクルが実行できている」ことが挙げられています。
アクション3:「売上への導線」を必ず設計する
そして最も重要なのは、SNSでの認知を売上に繋げるための導線を必ず設計しておくことです。プロフィールにECサイトや予約ページへのリンクを設置する、LINE公式アカウントへの登録を促す、定期的にキャンペーン情報を発信するなど、方法はさまざまあります。私たちが常にお伝えしているのは、SNS運用は「認知拡大で終わらせない、売るための運用」であるべきということです。
まとめ:バズの「先」を見据えた運用を
本記事では、SNSで話題になった企業投稿の事例を通じて、その背景にある本質的な成功要因を解説してきました。
改めて強調したいのは、バズは目的ではなく、あくまで手段の一つに過ぎないということです。一時的な話題性を追い求めるのではなく、自社の「らしさ」を大切にしながら、継続的にユーザーとの関係性を築いていく。そして、その関係性を売上やファン獲得という成果に繋げていく。それこそが、SNS運用における本当の成功だと私たちは考えています。
SNS運用に正解はありません。しかし、正しい方向性を持って継続的に取り組めば、必ず成果は現れます。本記事が、皆様のSNS運用を見直すきっかけになれば幸いです。
SNS運用の本質は、一発のホームランではなく、信頼を積み重ねる「継続」にあります。私たちは最新の分析技術と戦略設計により、一過性の話題で終わらせない「売れる運用」を徹底サポートいたします。
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